オリ

オリ
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ワインにおける「オリ(澱)」とは、ワインの成分が熟成の過程で結晶化したり、沈殿したりした固形物のこと。 主に赤ワインでよく見られるが、白ワインにも発生することがある。

オリの正体

オリの主な成分は、ブドウ由来の以下の成分。

  • タンニン: ワインの渋み成分であるポリフェノールの一種。熟成するにつれて、色素成分のアントシアニンと結合し、大きな塊となって沈殿する。

  • アントシアニン: 赤ワインの色素成分であるポリフェノールの一種。

  • タンパク質: ブドウ由来のタンパク質。

  • 酒石(しゅせき): ブドウの酸味成分である酒石酸と、カリウムなどのミネラル分が結合してできる、白くキラキラとした結晶。白ワインでよく見られ、「ワインのダイヤモンド」とも呼ばれる。

オリの役割と影響

  • 熟成の証: オリは、ワインが時間をかけてゆっくりと熟成した証拠であり、特に長期熟成した質の高い赤ワインに多く見られる。オリが沈殿することで、ワインの渋みがまろやかになり、複雑な風味が生まれると考えられてる。

  • 風味への影響: オリ自体には、えぐみや渋みがあり、舌触りがざらざらとしている。そのため、口に入るとワイン本来の繊細な味わいを損ねてしまう。

  • 安全性: オリはブドウ由来の成分なので、万が一飲んでしまっても身体に害はない。

オリのあるワインの取り扱い方

オリは、ボトルの中で舞い上がってしまうと、再び沈むまでに時間がかかる。 そのため、オリのあるワインを美味しく楽しむためには

  1. 静かに立てておく: 飲む数日前からボトルを立てて置き、オリを瓶底に沈めておく。

  2. 振動を与えない: 運搬や移動の際は、ボトルを静かに扱い、振動を与えないようにする。

  3. デキャンタージュ: オリをボトルに残し、ワインをデキャンタに移し替える方法。これにより、オリを取り除くことができるだけでなく、ワインを空気に触れさせて香りを立たせる効果もあります。

  4. グラスに注ぐ際の注意: ボトルを静かに傾け、ゆっくりと上澄みだけを注ぐ。最後まで注ぎ切らず、オリの沈んでいる部分はボトルに残す。

参考:オリと「澱引き」

ワインの製造過程では、発酵が終わった後、オリを取り除く「澱引き(おりひき)」という作業が行われる。これにより、ワインの透明度を高め、安定した品質を保つ。しかし、自然派ワインなどの中には、あえて澱引きをせず、オリを残したまま瓶詰めされるものもある。