ブショネ
「ブショネ」(Bouchonné)とは、ワインの品質を損なう代表的な欠陥臭の一つで、コルク栓の汚染が原因で起こる現象のこと。フランス語の “bouchon”(ブション)が「コルク」を意味することから、この名前がつきました。英語では「corked wine」(コークド・ワイン)とも呼ばれる。
ブショネの原因
ブショネの主な原因は、**TCA(トリクロロアニゾール)**という化学物質。このTCAは、コルクの原料となるコルクガシの樹皮に元々存在している、または、コルクの製造過程で使われる塩素系消毒剤などが、カビと反応することで発生すると考えられている。このTCAがごく微量でもワインに移ると、ワイン本来の香りや味わいを台無しにする。
ブショネの症状(香り・味わい)
香り:
- 濡れた段ボール
- 濡れた犬の毛
- カビ、湿った雑巾
- 古くて湿った地下室の匂い
- 腐った野菜
味わい:
香りが感じられなくなるため、ワインの風味が「平坦」で「ぼんやり」した印象になる。 果実味や酸味が感じられず、全体的に苦みが際立つことがある。 ブショネは、強いものからごく軽いものまで程度は様々で、経験者でも判別が難しい場合がある。
ブショネの確認方法
レストランなどでワインを注文した際に、ソムリエが抜栓したコルクを嗅いだり、少量のワインをグラスに注いでテイスティングを促すのは、ブショネではないかを確認するため。 ブショネは、たとえ飲んでも人体に害はないとされているが、ワイン本来の味わいを楽しむことができないため、もしレストランでブショネだと感じた場合は、ソムリエに申し出て交換してもらうことができる。
備考
スクリューキャップ
ブショネ対策、そしてコスト削減の観点から、コルク栓以外の封栓方法を採用するワインが増えている。代表的なものがアルミニウム製のスクリューキャップ。
- スクリューキャップはコルクではないため、ブショネの原因となるTCA汚染の心配がない。
- ワインオープナーが不要で、誰でも簡単に開けることができる。一度開けても再び密閉できるため、保存性にも優れている。
- 天然コルクは高品質なものほど高価だが、スクリューキャップは安価に大量生産できる。コスト削減が可能。
- コルク栓は微量ながら空気を通すため、熟成に影響を与えるが、スクリューキャップは瓶内を完全に密閉する。これにより、ワインが酸化することなく、フレッシュな状態を保ちやすくなる。
以前は、スクリューキャップは安価なワインにしか使われないというイメージがあったが、品質の高いワインにも積極的にスクリューキャップを採用したことで、そのイメージは大きく変わった。現在では、長期熟成を目的とした高級ワインでもスクリューキャップが採用される例が増えいる。特に白ワインやフレッシュなスタイルの赤ワインでは、スクリューキャップが主流になりつつある。